ブラック保育園とは何か、その特徴を知り、
今あなたが働いている保育園、これから入職を考えている保育園が、ブラックかホワイトかを見分ける方法、
もし、ブラックだと気づいたらブラック保育園を退職する方法、ホワイト保育園に転職する方法、
などなどを解説します。
ブラック保育園とは
ブラック企業が日本社会で問題化してから久しいですね。
ブラック企業とは、過重労働・違法労働・パワハラなど従業員の人権を踏み躙るような行為を平気で行なう企業のことで、この場合のブラックは和製英語です。
保育園もブラックが多いと言われており、ブラック保育園に入職しないよう、あるいはもし万が一間違って入職した場合、ホワイト保育園に速やかに転職できるように、アドバイスします。
その前に、ブラック保育園の特徴を掴みましょう。
ブラック保育園の特徴
1、長時間労働、休日出勤が常態化
保育士の仕事の性質上、残業や持ち帰り仕事がまったくないかと言えば、そんなことはありません。
ある程度は仕方のないことです。
しかし、残業が毎日だったり、休日出勤が続いたり、それが常態化しているのなら、その保育園はブラックと言えます。
残業や休日出勤が当たり前ということは、明らかに保育士が不足しているということであり、経営側は、早急に保育士を増員しなければなりません。
経営側が意図的に人件費を削減している可能性があり、もしそうならブラック保育園と言えるでしょう。
2、時給計算すると最低賃金を下回る
しかし、保育士の中には、長時間労働や休日出勤が多くても、労働時間に見合った給料が支払われるのであれば問題ないと思う人もいるでしょう。
問題は、最低賃金を下回るような低賃金の場合です。
自分の労働時間と給与を計算し、自分が住む地域の最低賃金以上かどうかを確認しましょう。
また、職場が認可保育園であれば、保育士の「処遇改善手当」が国から保育園へ支給されています。
保育士の処遇改善は2013年の「保育士処遇改善等加算」から年々進んでおり、2017年からはさらなる処遇改善を図るための新制度「技能・経験に応じた保育士等の処遇改善」が始まりました。
2019年4月からさらに1%(月3,000円相当)の引き上げが行われました。
本来、「処遇改善手当」は、保育士の給料に加算されるためのものですが、2020年1月に「保育士の処遇改善手当約7億円が賃金上乗せに使われていない」という調査結果によって、園のために使われている実態が明らかになっています。
保育士の処遇改善は、国のみならず、都道府県市区町村などの自治体によっても行われており、家賃補助・住宅手当を支給している保育園もあるので、転職先探しの際にはチェックしてみてください。
3、残業代が支払われない
労働基準法では、労働者の労働時間、休憩、休日について、以下のように定めています。
使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
上記で定められている勤務時間を超えて労働させる場合、雇用者は労働者に残業代を支払わなければなりません。
残業や休日出勤分の給料が支払われないのでしたら、それは違法です。
4、有給休暇を消化させてもらえない
有給休暇の取得は、労働者の持つ権利です。
有給休暇を取る理由も労働者側の自由であり、理由を申告する必要もありません。
また、有給休暇が年に10日以上付与される場合は、年に5日以上の有給休暇を従業員に取らせる義務が経営側にはあります。
「人手が足りない」から有給休暇を取れないという状況であれば、経営者側が保育士を増やさねばなりません。
それができない保育園はやはりブラックと言えます。
5、仕事に必要なものを購入しても費用を出してもらえない
保育用品や事務用品はもちろん、折り紙や色画用紙、マスキングテープといった制作物に必要な材料費も、経営側が経費として支払うべきです。
保育の仕事で使用するものの費用は、すべて経営側に請求することができます。
経営側が保育の仕事で必要なものを購入するのに自腹を求めるなら、その園はブラック保育園と言えます。
6、昼休みが少ない・勤務時間外に用事を言いつけられる
- 昼休みが十分に取れない、昼食を摂る時間もろくにない。
- たとえば子どもの食器とかの保育用品やクレヨンなどの図画工作用品の買い物を勤務時間外にさせられる。
などといったことも日常的に行われている保育園が多いようですが、これも厳密に言えばブラック的要素です。
筆者がある保育士から聞いた話では、前に勤めていた保育園では、子どもをあやしながら昼食をとり、食事を終えたら直ぐに仕事に戻らねばならない状況で、実質昼休みはなかったと言います。
これは明らかにブラックですが、こうした園はけっこうあるようです。
以上、ブラック保育園の特徴はいろいろありますが、ひとことで言えば労働基準法を順守せず違反していている保育園は、ブラック保育園です。
以上のような問題をクリアした保育園がホワイト保育園です。
- 労働基準法>>>
- 厚生労働省「雇用・労働 労働時間・休日」>>>
- 労働基準監督署>>>
ブラック保育園を「事前に」見分ける方法
入職候補の保育園にを実際に見学させてもらうことが大切です。
保育現場を見るだけでブラックを見抜くことは難しいかもしれませんが、注意深く観察すれば、ブラック的な雰囲気を感じられるはずです。
少なくとも見学を断ったり嫌がったりする保育園はブラック保育園の可能性が高いと言えます。
見学の際にチェックして見分ける方法
見学の際、以下のような現象や兆候が見えたらブラックの可能性が高いと言えるでしょう。
- 経営者や職員の態度 が尊大であったり、セールストークが多い
- タイムカードがない
- 規定の人数の保育士が配置されていない
- 施設や遊具などが汚く、衛生管理が不十分
ブラック保育園を求人情報で見分ける方法
求人情報で以下の2点が当てはまるとブラック保育園の恐れが濃厚です。
- 常に求人を出稿している保育園
- 同条件の職場と比べて給料が明らかに高い保育園
- 求人に基本給、賞与、昇給、休日、手当、福利厚生などを細かく表記していない保育園
- Webサイト(ホームページ)に詳細な情報を掲載していない保育園
- Webサイトから温もりを感じない保育園(外部に安く丸投げしてるような作りのHP)
長期間にわたって求人を出し続けている保育園は、慢性的な人手不足に陥っている可能性が濃厚です。
何らかのブラック的要素によって保育士不足が生じている怖れがありますので要注意です。
もちろん例外はあります。
たとえば急成長して新たに保育園を増やしているような場合です。
他園よりもかなり高額な給料を提示する保育園にも警戒する必要があります。
基本給ではなく残業代や休日出勤代、各種手当をすべて盛り込んだ金額を、求人情報に載せている可能性があります。
また、ボーナスは支払い義務がありませんので、求人にボーナスが含まれた額が掲示されていた場合、実際に受け取る給与が期待した額よりも少ない場合が発生します。
つまり、基本給、賞与、昇給、休日、手当、福利厚生などを細かく記述された求人を出している保育園のほうが信用できます。
また保育園のWebサイトを注意深く見ることで、ブラック的要素やホワイト的要素を感じ取ることも可能ですから、必ずWebサイトはチェックしましょう。
ブラック保育園を退職し、ホワイト保育園に転職する方法
ブラック保育園からホワイト保育園への転職を考えるなら、園とあなたとの間に入って交渉してくれる「マイナビ保育士」や「保育士ワーカー」などの転職求人ージェンシー(転職サイト)がおすすめです。
専任のキャリアアドバイザーが、これまでのキャリアやスキルを考慮した上で、おすすめの求人を紹介してくれます。
働きたい候補の保育園の見学から、条件の調整、入社後のフォローまで、すべてサポートしてくれます。
さまざまなサービスをすべて無料で利用することが可能です。
今の職場に退職を言い出せないなんて場合も、相談に乗ってくれます。
もし転職サイトが力になってくれない場合、あるいは職場がブラックの場合は、退職代行会社に依頼する方法もあります。
自分は園側と接触せず、退職できるように事を運んでくれます。
あなたが現在勤めている保育園がブラックだと感じるなら、地元の労働基準監督署に相談する方法もあります。国や自治体から補助金をもらっている保育園にとって、その方面から突かれるのは弱いからです。
退職の告知はいつ出すか
正社員など期間の定めのない雇用の正社員などが退職する場合、園との契約は大抵1ヶ月前に園側に通知することになっていると思いますが、法的には2週間前で良いことになっています。
労働者には「退職の自由」がある。そのため、退職を希望する労働者は自由に退職することができ、退職の意思表示から2週間が経過すると雇用関係が終了する。
と法律で示されているからです。
ただし、契約社員のように期間の定めのある雇用の場合は別です。
まとめ
ブラック保育園に入職してしまうと、適正な給与かどうかの問題ではなく心身ともに疲弊してしまいます。
今あなたが働く園がブラック保育園に該当すると思ったら、心身を壊す前に、速やかにホワイト保育園への転職をおすすめします。
ホワイト保育園の転職の足掛かりは、一切のサービスを無料で受けられる、「マイナビ保育士」や「保育士ワーカー」などの転職求人エージェンシー(転職サイト)の利用がおすすめです。