保育士に自治体が家賃補助!最大13万円補助の地区も

質問者

保育士に家賃を補助してくれる制度があると聞いたのですが、どのような制度でしょうか。

そんなあなたの質問にお答えします。

保育士の家賃補助制度は、待機児童の問題が深刻な都市部を中心に2015年から自治体で実施されている制度です。

この制度について詳しくかつ、わかりやすく解説します。

目次

保育士の「家賃補助」とは?

正式には「保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」と言う名称で、待機児童問題が深刻な都市部を中心に多くの自治体で実施されていますが、以後、家賃補助と表記します。

そもそも家賃補助とはどういったものなのでしょうか。

家賃補助は、支給される給与とは別に賃貸住宅の賃料の一部を支給するものです。一般に言う住宅手当に相当します。

家賃補助には、大きく分けて次の2種類があります。

  • 国や自治体が実施する「保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」
  • 事業所(保育園など)が独自に職員に対して行う補助

後者は、一般企業などと同じように職員の住宅費の負担を軽減するために支給するもので、支給される住宅費は課税対象となる場合がありますが、前者は非課税扱いです。

家賃補助は求人の際の有力な条件となりますので、事業所独自で住宅手当を支給するところも増えています。

「借り上げ制度」とは?

事業所独自の家賃補助は、事業所が用意するいわゆる「借り上げ宿舎」と、そうではない一般の賃貸住宅の家賃を負担する場合があります。

借り上げ宿舎とは、事業所が賃貸住宅物件を借り、それを保育士に貸し出すことを言います。

「保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」は、この借り上げ宿舎に関する支援事業を指します。

この支援事業は「保育士用の宿舎を借り上げるために必要な費用の一部を支援することで、保育士の就業継続を支援し、働きやすい環境を整備する」(厚生労働省)ことを目的として制定・実施されました。

その補助基準額は全国一律で月額82,000円が上限です。

「子育て安心プラン」に参加するなど、一定の要件を満たす自治体に対して、国:2/3、市区町村:1/12、設置主体:1/4の優遇措置を適用するというものです。

この支援事業は全国一律の制度ですが、国と東京都の負担を大きくし、市区町村や設置主体の負担を軽減しています。

家賃補助を受けるための条件

では、その家賃補助を受けられる人の条件はどうなっているでしょうか。

事業所が借り上げて保育従事職員に貸し出す宿舎の家賃の一部を補助する対象者は以下の常勤職員です。

  • 認可保育所
  • 認定こども園
  • 認証保育所
  • 認可を受けた小規模保育事業等の常勤保育従事職員

幼稚園や認可外保育園(認証保育所を除く)で働く保育士は対象外です。

また、制度発足当初は採用後5年目までの常勤職員が対象となっていましたが、現在は採用後10年以内の常勤職員が対象となっています。

ただし、待機児童数が少なく保育士の求人倍率が低い、つまり保育士が足りている市区町村に関しては引き続き採用後5年以内の保育士が対象です。

家賃補助もらえる金額は?

具体的な家賃補助の額はいくらでしょうか。

家賃補助の基本制度である「保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」では、全国一律月額82,000円を上限に市区町村で設定するとなっています。

家賃補助の制度は、厚生労働省(国)が主体となって実施する制度ですが、この制度を適用するかどうかは自治体の判断に委ねられています。

この制度は保育士人材の確保が目的のため、保育士不足や待機児童問題が深刻な地域で積極的に実施されています。

待機児童の多い、つまり保育士不足の傾向の強い東京都、神奈川県などで良い待遇が受けられます。

家賃補助の額は、家賃相場が高い地域では、上限82,000円の月額に加え、さらに上乗せして支給するところもあります。

東京23区では独自の上乗せを行っている区もあります。

たとえば千代田区では、区内の借り上げ宿舎に関して国の定めた補助額とは別に月額48,000円の上乗せしています。

合計すると月額上限130,000円という手厚い補助額です。

千代田区は、2019年1月時点で待機児童はゼロですが、保育士人材確保のため家賃補助を行っています。

港区の場合は、港区内の借り上げ宿舎に関する補助額は月額112,000円が上限となっています。

いち早く2015年に導入した東京都世田谷区では、「区内の認可保育園等に勤務する常勤保育従事職員が、保育運営事業者が賃借する住宅に入居する場合、82,000円を補助基準上限額として、保育運営事業者に補助を行います」としています。

千葉市では、「補助対象経費63,000円/月を上限に、4分の3を補助。(残りの4分の1は、法人負担となります。)」としています。

大阪市では、

①平成28年8月以降に採用された保育士の方。
補助上限月額: 66,000円 
補助率: 国2分の1、大阪市2分の1 
②上記のうち、現在勤務する保育所等に採用されるまでの1年未満に市内の保育所等での勤務経験がある方。
補助上限月額: 49,000円
補助率: 国2分の1、大阪市4分の1、保育所等4分の1
③市内民間保育所等の採用から起算して10年以内の保育士の方で上記に該当しない方。
補助上限月額: 49,000円
補助率: 国2分の1、大阪市4分の1、保育所等4分の1
※ ただし、令和元年度において本事業の対象であって、令和2年度も引き続き同じ宿舎に入居している場合は、①の方は補助上限月額82,000円、②③の方は補助上限月額61,000円になります。

結婚や同棲でも家賃補助はもらえる?

家賃補助をもらえる対象者は東京都の場合、認可保育所や認可を受けた小規模保育所、認定こども園や認証保育所に勤務する常勤の保育士です。

厚生労働省の「保育士宿舎借り上げ支援事業」の対象者には、単身者に限るなどの条件は明記されていません。

基本的には、ひとり暮らしであろうと家族と同居していようと、事業所が借り上げる住宅に入居すれば問題はありません。

未婚や既婚も問いませんし、同棲していても問題ありません。

しかし、あくまでもこれは、国の家賃補助の基本的な条件です。

最終的な判断は運営する事業所によって異なりますので、同棲は認めないとか家族との同居以外はNGという場合もあります。

ある認可保育園では当該事業所の近辺といった条件が付与されていることもあります。

各自治体によってもその条件が違う場合があります。

特に東京都は待機児童・保育士の不足が深刻なため、手厚い人材確保政策を行っています。

配偶者が住宅手当を受けている場合はNG

家族や同棲相手、友人などと借り上げ社宅で家賃補助の対象となる場合にも、注意しなければならないことがあります。

例えば、補助を受ける保育士が既婚者で、パートナーが勤務する企業で住宅手当を支給されている場合は、家賃補助は受けられません

また、独自に上乗せを行っている自治体では、宿舎が自治体内にあることが条件になっている場合があります。

家賃補助の支給を希望する人は、自治体や勤務する保育園等に条件を確認しましょう。

保育士の家賃補助はいつまで?

保育従事職員宿舎借り上げ支援事業は、平成28年(2016年)に始まりました

待機児童問題を背景に、家賃補助の他にも保育士を確保するために処遇改善手当など、いろいろな策が講じられています。

しかし、財源は無限ではありません。

徐々に縮小されるか、制度自体が無くなってしまう可能性もあります。

新型コロナウイルスのパンデミックの対策費用などで国の財源がひっ迫する中、家賃補助が続けられるのかどうか不透明です。

また、自治体も新型コロナウイルス対策に財源を費やしているため、自治体の判断で家賃補助が打ち切られることも考えられます。

家賃補助は活用すべき

保育士の給料は国の施策によって改善されつつあるとはいえ、労働内容の大変さや責任の重さなどを考えると、未だそれに見合うほどの水準なのか疑問が残ります。

そんな状況下、家賃補助などの支援制度を使わない手はありません。

ただ、この家賃補助は、いつ終了してもおかしくない施策であるということはあらかじめ承知したうえで、利用を考えてみることをおすすめします。

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